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仕事先に日参してくるお客さんに

「ティオさん、なんでそんなに男前! 
なんで、男じゃないの!? 私ここまで他人に話したことないよ。
男だったら、嫁に行くのに!」
と、言われてしまった。

……それは褒め言葉か? おい!?
私に惚れたか? そうか。

続きは難しい話。吐き出し話なので、読まないほうが吉。


いや、常々、男性思考だと思うし
この客に対しては、しっかり内面ほじくりまくって
悩み相談受付係みたいになってしまっているのは事実だが
なんだかな~そう上に見てくれるな。
私はまだそこまで極めていない。

真摯な態度で客の悩みは受け止め助言はするけれど
的確な意見だと自分でも思うけどさ。
そのあたりはほんとはね、自分で気がつか受け止めなけりゃ、解決しないんだよね。
自分で現状打開の一歩を踏み出さなけりゃ、
一生囚われたままだといい加減認めろ。

この客が、友人だったら、どうだろ。
ああ、近寄りもしないわ。
絶対、こっちのテリトリーに入れもしないし、あっちの内面をほじりもしない。

「あ~そうなんだ? そっか、大変だね~」
で、終わらせたはず。
なぜそれが出来なかったか。
ここまで自分のテリトリーに受け入れてしまったか。
それは彼女の抱えている根本的なものが、昔の自分と重なったからだ。

親からの精神的な呪縛。

毒になる親
非常に辛いことだが、自分の親がそれだと認めなくては、先に進めない。
愛玩用と搾取用。
自分は搾取用だからって、親にすがるのはムダなんだって。

自分の親だから、期待する。
兄弟と同じだけの愛情をかけてもらえるなんて、もう無理だってわかっているはず。
それでも、愛玩用より親に尽くして尽くして尽くしきって、人生半場まできた彼女は、親から離れられない。

私は結婚という手段で、親から遠く離れた地にこれた。
それで、親からの呪縛を断ち切ったつもりになった。
考える時間は十分あった。
いま、自分がかつての親と同じ轍を踏まないように必死だ。
なかなか、難しいもので、苦労している。
不甲斐ない母でスマンと、息子に謝り通しだ。

彼女をみていると、じれったくてしかたない。
「家にこもるな。外にでろ」
「今でなけりゃ一生そのまま。10年先のビジョンを考えろ」
まだ言ってないが
「親が死んだら、どうするの? なにも残らんよ。枯れ果ててシヌだけ」
ああ、余計なお節介さ。他人だもの、どうでもいいのにな~
毎日、相談と言う名の愚痴をきかされると、どうにかしてやりたくなる。

そもそも、彼女はなんでそこまで私に話すのか
「ティオさんに話すとすっきりする。そう考えればいいのかって思える」
アホか? くだらない位置で悩んでるやつがアホ臭くって仕方ないから
いい加減聞き飽きたから、ズバリと切り捨ててるだけだ。
「くだらんことで悩むな。んなもん、切り捨てて自分の内面磨け! バカ! 」
と罵りたいときなんか、いくらでもある。
それに近いことなんか、4年間、いくらでも言っただろう。
何回、泣いた? 私の言葉に。

それでも彼女は動かない。動けない。
4年の間に、何度となく親から受けた手痛い仕打ち。
それでも彼女は親を見捨てられない。
私にできることなど、何もない。

救世主は現れるのか?
合理的に親から離れれる機会といったら、結婚が一番だろう。
だが、家にこもる彼女にそんな救世主との出会いがあるか?
無理だ。
だから、「外にでろ。働け! 」と、口をすっぱくして言うんだが、「怖い」という。

もう無理だよ。あんた一生そのまんま。
これ以上ナニ言ってもムダ。
あんたの人生を背負う義理はない。


で、冒頭のセリフを聞かされる。
私が男だったら、あんたを救うってか? いやだよ。んなうっとおしい女。
はぁ~疲れる。
まだまだ、子守しろってか?
愚痴をきくのはもう御免だ。不満にたいする助言も出し尽くした。
客じゃなかったらな~即行で、切捨て対象だぞ。
そこんとこ、誤解してるだろう。
悩み相談所は、閉めさせていただきますよ。
今後一切聞かん! 言わん!

そう決めても、日参されるかぎり、私が辞職しないかぎり
日常は続くのだろう。
こうなったら、とことん泣かせるか? 
今まで泣かせた否じゃないくらい、内面ほじってほじってガタガタにして、
とことん追い詰めてもやってもいいか?
いや、それは彼女を救う人の仕事だろう。
私の出る幕じゃない。出たくもない。

だいたい、人一人を救えるほど、でかい器なんぞ、持っていないって。
買いかぶり過ぎなんだよ。
小説じゃあるまいし、自分を救えるものは自分しかいないんだよ。

って、凄いヘビーな話だな。こりゃ。
もっと気楽に行こうぜ、私。
 

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